「COARA」と情報市民公社:中小企業の地域興し、日本初のネット社会から脱炭素へ
社会情報学会シビックテック・デザイン研究部会では、下記の通りオンライン研究会を開催いたします。
本研究会では、『「COARA」と情報市民公社 中小企業の地域興し、日本初のネット社会から脱炭素へ』の著者である尾野徹氏をお迎えし、COARAや情報市民公社の取り組みを手がかりに、日本における初期インターネット社会の形成過程と、地域に根ざしたデジタル実践の意義についてご講演いただきます。また、こうした歴史的実践を踏まえつつ、今日のシビックテックや地域イノベーションとの接続可能性についても議論を深めます。
本研究会は YouTubeによるライブ配信(聴講のみ) にて実施いたします。どなたでもご視聴いただけますので、関心のある皆様のご参加をお待ちしております。
概要
- 日時: 2026年3月23日(月)18時~19時30分
- 講演: 尾野徹 氏(鬼塚電気工事株式会社 、NPO観光コアラ)
- 司会: 庄司昌彦(武蔵大学)
- 概要: 1990年代にパソコン通信や地域プロバイダーなどネット社会のインフラづくりから始まった日本の「地域情報化」と日本のシビックテック史を橋渡しすることを目指し、日本の地域情報化活動における先駆者である尾野徹氏に、ご著書『「COARA」と情報市民公社 中小企業の地域興し、日本初のネット社会から脱炭素へ』の概要を中心にお話をうかがいます
- YouTubeアーカイブ
プログラム
18:00–18:05 オープニング
18:05–19:00 尾野徹氏 講演
19:00–19:30 ディスカッション
主催:
内容の概要
2026年3月23日(月)「社会情報学会シビックテック・デザイン研究部会」が主催するオンライン研究会が開催されました
日本の地域情報化のパイオニアである尾野 徹 氏(鬼塚電気工事株式会社 / NPO観光コアラ)をお迎えし、ご著書『「COARA」と情報市民公社 中小企業の地域興し、日本初のネット社会から脱炭素へ』をテーマに、インターネット黎明期のリアルな戦いから最新の「市民AI」の構想までのトークが繰り広げられました。
日本のネット社会はここから始まった!「コアラ(COARA)」の歴史
今や誰もがスマホでネットに繋がる時代ですが、1990年代はパソコン通信や地域プロバイダーを自分たちの手で作っていた時代。その先駆者が、大分県を中心に活動を広げた「COARA(コアラ)」です。 司会の庄司昌彦先生(武蔵大学)は、このコアラの取り組みを「日本のシビックテックの第一世代(源流)」として位置づけました。 ゲストの尾野さんからは、1994年〜1999年にかけてのパソコン通信・インターネット展開の裏話が。なんと当時、大分県では8億円規模の官民合同プロジェクトが動いていたそうです!地方から日本初のネット社会を興そうという、当時の圧倒的なエネルギーが伝わってきます。
数千万円の負債、そして会社化へ……波乱万丈の舞台裏
しかし、イノベーションには大きな苦労もつきもの。 インターネットの普及や「情報市民公社構想」の実現に向けて突き進んだものの、当時は企業向け技術の使いにくさや文字化けといったトラブルが多発。さらに、数千万円もの負債を抱え、組織を会社化せざるを得ないという厳しい局面にも直面したそうです。
尾野さんは当時を振り返り、
「個人的には、前向きな精神や社会的信用を得られた一方で、事業の負担や家族との時間が削られるなど、失ったものもあった」とリアルな本音を漏らす場面も。 それでも活動を続けられた理由は、「面白いビジョンと、それを共有できる仲間の存在があったから」。やはり、人を動かし、時代を切り拓くのはいつだって「ビジョン」なんですね。
行政・企業、そして「市民AI」が共存する未来へ
今回の研究会では「市民AI」というこれからの未来に向けたキーワードがありました。
尾野さんたちは現在、「AIコアラ」の開発を進めており、生成AIを社会システムに組み込む可能性を模索しています。
世の中のAIの勢力図として、尾野さんは次の3つを想定しているそうです。
- 国会AI(国家・行政)
- 企業AI(ビジネス・商業)
- 市民AI(私たちの暮らし・草の根)
歴史的な「市民公社(行政・企業・市民が協力する組織)」の構想を、これからはAIの時代にアップデートしていく。国や大企業にAIの支配権を握られるだけでなく、“人が主役となり、AIがそれを支援する(フィールドカタリスト)”、そんな人間中心のユーザビリティが大切だと議論されました。
歴史を知ることで、未来が見えてくる
インターネット黎明期の「草の根」のパワーが、時を経て現代のシビックテック、そしてこれからの「市民型AI」へと繋がっていく。今回の研究会は、まさに過去と未来を結ぶ素晴らしい時間でした。 研究会の最後には、SF小説が与えた影響や、当時のデジタル文化をどうアーカイブ(保存)していくかといったロマン溢れるお話もあり、あっという間の1時間半でした!